大切な子供のため、無農薬野菜や有機野菜を選びたいと思う人が増えてきています。
しかし、どんな影響があるのか良く知らないという方も多い。
また、逆に日本の野菜ならば安全だと盲信的に信じているという方もまだ多いでしょう。
日本の現状を正しく知っておくことが農薬の影響から子供を守るためにも大切なことです。
そこでこの記事では農薬が子供の発達や健康に与える影響とネオニコチノイド系農薬の関係について説明します。
ぜひ、農薬が心配という親御さんはそれらを考えるきっかけにしてみてください。
Contents
農薬が子供の健康を脅かしている?!
「農薬は怖い」となんとなく思っているけれど、日本の野菜は大丈夫だろうと思っている方はまだ多いはずです。
皆様は、日本の野菜に農薬が大量に使われていることをご存知でしょうか。
日本は経済的には先進国かもしれませんが、残念ながら農薬については後進国といっても過言ではない状況です。
スーパーに並んでいる野菜に、最近では少しずつ有機野菜が増えてきましたが、無農薬野菜となると一般的なスーパーではほぼ手に入りません。
毎日当たり前のように、一般栽培の野菜を食べている私たちには、もはやそれが当たり前。
でも実は、農薬による被害は見えないところから少しずつ、私たちの健康を脅かすようになっています。
特に、その影響が大きいのは子供です。
未発達で防御能力がなく、自分で食べ物を選ぶことができないため、農薬の被害者になっているのです。
実際、子供の健康や発達への悪影響はさまざまな報告から明らかになりつつあります。
農薬が与える子供の健康への悪影響
子供に悪影響があると言われても、実感があまりないという人は多いかもしれません。
では一体、どんな影響が子供に起きているのでしょうか。具体的な病気や障害などの内容を詳しく見ていきます。
発達障害の増加
農薬の影響が大きいと注目されているのが、子供の発達障害です。
発達障害は自閉症や注意欠陥・多動症(ADHD)、学習障害などの総称で、これらの障害を持つ子供が日本で農薬の生産量の増加とともに増えつづけています。
以下のグラフに示すように、20年前とくらべて大幅に増えていることがわかります。
発達障害の原因は、かつて生育環境や遺伝子異常などと考えられてきましたが、近年では農薬やその他の化学物質の影響が強く疑われはじめています。
次の表は米国の自閉症スペクトラム障害(ASD)の人数と割合の推移を示したものです。
ご覧のとおり、2000年には子供の150人に1人、2014年には59人に1人が自閉症スペクトラム障害というデータが出ています。
そして、これまでの研究をもとに米国科学アカデミーでは、子供の発達障害や行動異常の3分の1が農薬や他の化学物質の影響、またはそれらの曝露による遺伝子との関係が原因だと推定。
神経伝達物質アセチルコリンの働きを間接的にかく乱する有機リン系農薬に晒された母親からは、ADHD や IQ 低下などの知的問題のある子どもが多く生まれたという論文も出ています。
IQ低下や記憶障害
子供の発達障害だけでなく、もっと広範囲に及んでいる可能性があるのは、知能発達への影響です。
ある研究によれば、有機リン系農薬のクロルピリフォスによって子供のIQ低下、作業記憶の障害が起きることが報告されています。
また、欧州食品安全機関では、ネオニコチノイド系農薬がヒト脳に発達神経毒性の可能性ありと公表。
ネオニコチノイド系農薬は、脳内の神経伝達物質である「アセチルコリン」のような働きをします。
微細に精密なコントロールを行う神経回路において、ニコチンやネオニコチノイド系農薬に対して脆弱であるのは当然のことでしょう。
急性リンパ性白血病や脳腫瘍などの病気
農薬は発達障害に限らず、さまざまな疾患や異常を引き起こす可能性があります。
次の図で示すように、神経系疾患を中心に小児がんや糖尿病、喘息などのアレルギー疾患も関連性が疑われているのです。
たとえば、15歳まで農薬にさらされる環境に住んでいた子供は、小児がんを発症するリスクが高いという報告があります。
生後1年に除草剤や農薬にさらされた子供は喘息になるリスクが高いというデータも。
他にも、糖尿病や肥満などのリスク要因になることも分かっています。
子供の発達に影響するネオニコチノイド農薬
米国小児科学会では2012年に化学物質の中でも、農薬が子供の発育に与える影響が大きいと判断し、「子供への農薬曝露低減を求める政策声明」を出しました。
農薬は化学物質と比べて簡単に避けられるものではなく、毎日口にする食べ物であることから、ダイレクトに影響を受けやすいのです。
目に見える明らかな急性症状だけでなく、何年後かに現れる慢性的な症状も防ぐ必要はあります。
その農薬の中でも、特に問題視されているのが「ネオニコチノイド系農薬」です。
2013年12月には欧州食品安全機関(EFSA)が警告を出しました。
ネオニコチノイド系農薬であるアセタミプリドとイミダクロプリドの2つについて、発達期のヒトの脳に悪影響を与える可能性があると報告したのです。
アセタミプリドとイミダクロプリドは、ニコチンと化学構造がとても似ています。
かつてよりヒトのような脊椎動物に対して、アセチルコリン受容体の親和性が低いために悪影響を及ぼさないと考えられてきました。
しかし、近年では疫学研究などで農薬の影響が否定しきれない報告が相次いでおり、今後長期的なデータ収集と研究成果が出てくることを注視すべきといえます。
農薬の影響から子供たちを守るためにできること
いかに農薬が子供の発達に影響するということが理解できたのではないでしょうか。
農薬は怖いと単に怖がるのではなく、具体的に行動に移していくことが大切です。
まず、毎日食べる野菜やお米を無農薬・減農薬などに変えることです。全ての食材をこだわるのは大変なので、口にする機会が多い主食だけでも変えてみると良いでしょう。
そして、水田や農地、河川などの農薬や除草剤が散布されたところには近づかないことです。
都市部に住んでいても地域の公園などで散布されていることがあります。
家庭用の殺虫剤や駆虫剤などにもネオニコチノイド系農薬が含まれるため、使用する場合は必ず屋外または換気の良い環境で行いましょう。
少しの工夫で、子供たちをネオニコチノイド系農薬から守ることはできます。
特に最近では、無農薬野菜を直接販売する農家さんも増えてきています。
需要が増えればますます日本でも無農薬野菜の流通量が増えていくことでしょう。ぜひ明るい子供たちの未来のため、今日できることから始めてみませんか?