コラム

子供の発達障害増加と農薬が関係しているって本当?

近年、増加傾向にある「発達障害などの子供の神経系の病気」について、農薬の関係が指摘されています。かつて発達障害は生まれもった素因が関係すると考えられてきましたが、詳しい発症のメカニズムはまだ解明されていません。それどころか、最近では農薬の使用増加と発達障害の発症に、何らかの関連性があるという意見も出てきています。

果たして発達障害の増加と農薬に関係性はあるのでしょうか?この記事では、子供の発達障害と農薬の関係性について、いくつかのデータを示しながらご紹介します。ぜひ、お子様の健康と農薬について考えるきっかけにしてみてください。

増え続ける発達障害と農薬の関係

農薬、特に殺虫剤は昆虫の神経伝達をブロックすることで殺虫作用を発揮します。人体に影響のない濃度で使うことが大前提ですが、ヒトの神経系にも作用するため、神経系の障害や異常を引き起こすと懸念されています。

特に、近年増えてきている子供の発達障害は、他にも多くの要因が考えられますが、化学物質や農薬の影響が大きいと疑われているのです。よく使われているネオニコチノイド系農薬は、神経伝達物質のアセチルコリンの働きを撹乱させることから、さまざまな神経疾患との関連性が指摘されています。

発達障害とは?

発達障害とはどんな病気なのでしょうか。大きな枠組みの定義である発達障害の中には、自閉症やアスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害、などが含まれます。

全てに共通しているのが、生まれつき脳に異常を持って生まれてきているという点です。対人的問題やコミュニケーション、学習、こだわりなどの違いはありますが、同じ病気でも個々によって症状が大きく違うところが発達障害の特徴です。

発達障害の原因はまだ解明されていませんが、海外の研究では遺伝的要因ではなく、環境要因の方が強い可能性があることが分かってきています。近年、先進諸国ではADHDや自閉症などの発達障害が急増中。因果関係として、環境ホルモン様作用を示す化学物質との関連性が強く疑われています。

子供のIQ低下と環境ホルモン

発達障害というと、ごく一部の事例のように思われるかもしれません。しかし、子供のIQ低下というもっと大きな問題もあります。特に、PBC(ポリ塩化ビニル)曝露による子供のIQ低下は、科学的根拠をもって示されているほど。現在の日本でも汎用されているビスフェノールAや有機フッ素化合物、臭素系難燃剤、フタル酸エステル類なども、子供の発達への影響が指摘されています。

日本でもこの数十年間で、特別支援教育を受ける児童・生徒数が2倍以上に増えるなど、子供の発達に変化が起きていることは明らかな状況です。EUでは内分泌撹乱物質による影響から発生する経済損失額は、年間で約1579億ユーロ(約20兆円)という試算もあります。子供のIQ低下や発達障害を起こす環境ホルモンや化学物質の規制は、国をあげて取り組まなければならない課題となっているのです。

なぜ農薬と発達障害が関係あるの?

では、農薬と発達障害にはどのような関係があるのでしょうか。まず以下のグラフで示しているように、日本における発達障害の子供数は増加の一途をたどっています。実感としても、昔より発達障害という言葉を世間的によく耳にするようになったと思いませんか?

発達障害の原因としては、インターネットの普及やゲーム、生育環境などが疑われていたこともありましたが、欧米では化学物質の関与が最も注目を浴びています。現代社会には数十万種類という化学物質が出回っており、どれか一つに限定することは難しいかもしれません。しかし毎日、直接口にする食べ物の影響と子供の心身の発達は無関係とは言い切れないのです。

子供の尿中からネオニコチノイド農薬が検出

農薬が子供に対して曝露されていることを示すデータとして、尿中に農薬が検出されたという報告があります。水溶性成分と脂溶性成分がある農薬は、水溶性であれば尿中や汗に排泄されやすく、脂溶性であれば肝臓や脂肪組織に蓄積しやすい。2016年に子供(3歳児)223人を対象とした調査では、有機リン系農薬、ピレスロイド系農薬は100%、ネオニコチノイド農薬は79.8%、と高い割合で尿中から検出されました。すでに40年ほど使われている有機リン農薬は、体内で分解されると言われてきたにも関わらず、高い割合で検出されたのです。

また、別の調査では、1994年から2011年にかけて尿中ネオニコチノイド濃度が有意に増加していることも分かっています。

背景にあるネオニコチノイド農薬出荷量の増加

以上のような今の状況と関連性が高いと考えられているのは、ネオニコチノイド農薬の出荷量増加。全国出荷量は増加傾向かほぼ横ばいという状況です。

なぜこれほどまでネオニコチノイドが普及したのかというと、その使い勝手の良さが理由です。水溶性、浸透性、残効性、低揮発性、熱安定性に優れているネオニコチノイド系農薬は、近年の日本で稲作や果樹、野菜など幅広く使われています。

しかし、有機リン系よりも安全性が高いとして登場したにも関わらず、残留性や残存性が高く、植物内部へ浸透するため洗っても落ちにくいというデメリットがあります。特に、近年の発達障害の増加と同じように、ネオニコチノイド系農薬の生産量が増えていることから、何らかの関連性があってもおかしくないと考えられています。

子供を守るために、今すべきこと

では、身の回りに浸透してしまった農薬や化学成分から、私たちはどう子供達を守れば良いのでしょうか。

・ゴキブリや植物用などの殺虫剤はなるべく室内で使わず、使うときは必ず換気する
・ペットのノミ/ダニ駆除に使う首輪タイプの駆除剤は使わない
・庭などに除草剤や殺虫剤を撒かない
・公園や遊歩道などの除草剤を散布した場所に近づかない
・農作物はなるべく無農薬を選ぶ
・輸入農産物はポストハーベストの使用が多いため気をつける
・蚊避けスプレーなどはなるべく天然成分のもので代用する

「人間にとって不利益だから」という理由で、自然界の生き物を除去するために使われるものには、化学物質が含まれていることが殆どです。一見して人間にとって利益のないように見える生き物も、生態系のピラミッドを支えている大事な存在。人工的な化学物質はなるべく使用しない、自然由来の成分で代用する、物理的に除去するなど、頼りすぎない暮らしの見直しが不可欠となってくるでしょう。

農薬と化学物質から子供の未来を守ろう

いかがでしたか?子供の発達障害やIQの低下と、農薬や化学物質は関連性が強く疑われます。今後さらなるデータの収集と研究成果により、原因が明確になってくることでしょう。でも、全てが明らかになったときでは遅く、農薬や化学物質によって多くの子供達が影響を受けているかもしれません。いますぐ行動に移して農薬や化学物質から未来を託す子供達の安全を守ることが、大人達の責務ではないでしょうか。ぜひこの記事を読んだ後から、少しずつ行動を変えてみてください。あなたの小さな選択の変化が、これから生まれてくる子孫達を守ることにつながっていくはずです。

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