スーパーや自然食品店などでも目にすることが増えてきた無農薬野菜。食の安全性への注目が高まっていることで、無農薬野菜も注目を浴びています。特に、アレルギーがある方や小さなお子様がいる家庭では、安全な野菜を選びたいと考える人が多くなっている一方、なぜ「無農薬野菜がいいの?」、「有機野菜とどっちがいいの?」といった疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
そのため、それらをしっかりと理解しておいた方が無農薬野菜の価値も良く理解できるようになるはず。そこで今回は、無農薬野菜のメリットとデメリットについて詳しく説明していきます。
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無農薬野菜とはどんな野菜?
野菜にも一般栽培で作られた野菜(慣行栽培)、無農薬野菜、さらに有機栽培や特別栽培などの農薬や肥料に配慮した野菜があります。これらは主に、野菜を育てる中で農薬や化学肥料を使っているかどうかという基準で区別されています。
簡単に「無農薬野菜」、「有機野菜」、「特別栽培」について説明すると、
無農薬野菜
原則として栽培期間中に農薬を一切使用せず育てられた農産物
有機野菜
化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないで育てられた農産物
特別栽培農産物
地域の慣行レベルに対して節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下、で栽培された農産物
以上の違いがあります。
一般的に「健康な野菜」とされているのは、有機野菜と無農薬野菜ではないでしょうか。実は、これらについて正しく理解している方はまだ少ないのです。
有機栽培は農薬を一切使っていないように思えますが、実際はJASが認定している31種類の農薬についてのみ使用が認められてます。有機=完全無農薬ではないということです。
また、無農薬野菜については国で定められた一定の基準はないため、農家によって農薬を使っている期間や量が異なる場合があります。完全に農薬の影響がないとは言い切れないものの、基本的に無農薬野菜は栽培期間中の農薬散布を一切行わずに育てられたものなので、安全性は高められていると言えるでしょう。
無農薬野菜のメリットとは??
お子様のアレルギー対策や健康意識の向上により、無農薬野菜を選ぶ人が増えてきていますが、実際はどんなメリットがあるのでしょうか。それぞれ詳しく見てみましょう。
農薬のリスクを減らすことができる
農薬は虫は殺しても人体に影響がほとんどない薬剤とされていますが、実は人体にも悪影響を及ぼす報告が相次いでいます。たとえば、ミツバチの大量死や近年増えている神経疾患、子供の発達障害などにも農薬との関連性が疑われているのです。
農薬を使った野菜を食べてすぐその日に、具合が悪くなることはなかったとしても、将来の健康を脅かす可能性はゼロではありません。特に、最近主流となっている「ネオニコチノイド系農薬」は、残存性が高く、神経伝達物質を撹乱させる恐れがあると指摘されています。農薬は農作物の害虫被害などを防ぐために必要最低限は使わなければならないとはしても、人体に悪影響を及ぼすレベルになってはならないのです。
無農薬野菜の場合、原則として栽培中に農薬を使っていないため、農薬のリスクを大きく減らすことができるのがメリットです。もちろん「無農薬」と言っても完全に農薬をゼロにしているわけではなく、法律で定められた範囲の農薬を使っている場合もあります。ただそれでも、慣行栽培の野菜よりも大幅に農薬を減らすことができるという点はメリットでしょう。
野菜の味をしっかり感じられる
無農薬で育てた野菜は農薬や化学肥料の力に頼らず、自力で成長しようとします。厳しい自然環境の中で、限られた栄養源を効率よく吸収して育とうとするので、非常に力強く栄養を蓄えた野菜が生まれるのです。
もちろん、土地ごとに相性の良い野菜は違うため、無農薬なら何でも美味しいという訳ではありません。場所によって無農薬では育てられない野菜もあります。ただ、土地の土壌や気候、環境を理解した上で、野菜の特性にマッチした条件で育てれば、全く農薬を使わなくても野菜はしっかり育ちます。
栄養価が高いだけでなく、味が濃く、野菜本来の美味しさが強調されることも特徴です。苦味やえぐみを苦手とするお子様でも、無農薬の甘みが強い野菜なら大丈夫なこともあるほど。まさに自然の恵と言える美味しさが魅力です。
生産者の顔が見えやすい
無農薬野菜は「〇〇さんが作った」と写真や名前付きで売られていることがほとんどです。スーパーや八百屋さんだけでなく、レストランで提供している場合にも「どこの誰が」作ったかが見えるようになっていることが多いでしょう。生産者さんが見えるということは安心感にもつながります。また、その生産者さんのリピーターになって応援することもできます。農家さんによっては消費者と直接つながったり、農家体験などに参加したりできるといった、新しい楽しみが生まれることもメリットでしょう。
無農薬野菜のデメリットとは?
からだに優しいイメージのある無農薬野菜。もちろんデメリットもあります。ただ、それをデメリットとして捉えるかどうかは、正直個人差もあるところです。次を参考に、ご自身でも無農薬野菜を取り入れられそうか検討してみてください。
値段が高くなりがち
無農薬で育てるにはどうしても手間がかかります。農薬は決して無駄に使っているわけではなく、たとえば殺虫剤は、日本の気候で育てる上でほぼ避けられない害虫被害から野菜を守るために使っています。つまり、農薬を使わないということは、虫避けや除草作業などを行う人の手間が増えてしまうのです。
しかし残念なことに、無農薬で育てた野菜を農協が買い取ってくれる価格は一般栽培とさほど変わりません。コストばかりかかって割に合わず、農家は継続していくことが難しくなってしまいます。一般の流通ルートに乗らないのはこのような背景があるためです。
そのため、無農薬野菜は農協を通さずに直販や現地の直売所などで売られることが多く、農協を通して売られている野菜よりも無農薬野菜は高くなってしまうのです。ただ、現地の直売所や直接販売を利用することで、安定的に購入できる方法もあります。
形が不揃いになりやすい
無農薬野菜では、便利な農薬や化学肥料の力を借りることができないため、形が不揃いになりやすいことが特徴です。慣行栽培の野菜は農薬や化学肥料によって安定的に育てられているため、形が均一になりやすく、日本では商品価値が高いとされています。
無農薬野菜は栄養管理や土壌のチェックなど、人の手できめ細かく行う必要があります。そのため、何かしらの理由で栄養状態が乱れると野菜の形が悪くなったり、味も落ちてしまったりすることもあります。
とはいえ、形が不揃いでも人体への悪影響はありません。見た目が良くても農薬を大量に使った野菜と、形は悪いけれど農薬を一切使っていない無農薬野菜では、どちらが健康的かと考えれば、無農薬の方がやはり安心できると言えるのではないでしょうか。
大切な人を守るため、無農薬野菜をはじめよう
今回は無農薬野菜のメリットとデメリットについて説明しました。無農薬野菜についての理解は深まりましたか?
完璧に農薬を避けることは難しいことですが、無農薬野菜を選ぶだけで大幅に農薬の影響を減らすことができます。日本はまだ世界よりも無農薬野菜の割合は少ないですが、今後ますます需要が高まってくると予想されます。
一般的にスーパーに並んでいる野菜よりも多少高いかもしれませんが、健康はそれ以上に大切なことです。また、農薬のリスクは今の世代だけでなく、次世代にまで引き継がれていくもの。だからこそ、私たちは農薬のことをもっと考えていく必要があるのではないでしょうか。ぜひこの機会に、毎日の食卓に並ぶ野菜の選び方を考えてみてください。