コラム

ミツバチの大量死は人類への警鐘!?農薬による生態系への影響とは

いま世界中でミツバチの大量死が起きていることを知っていますか?その被害は米国からアジア、中南米まで広がっており、もちろん日本も例外ではありません。
それらの原因は複雑に絡み合っています。とくにその中でも問題視されているのが農薬の影響です。そして、その影響は想像を超える範囲に及び、人類の未来にまで影響する可能性が指摘されています。いま、私たちがミツバチの大量死から農業のあり方について考えるべき、行動するべきことは何でしょうか?

そこで今回は、そんなミツバチの大量死の実態と原因、今後考えられる影響までお話していきます。ぜひこれを機会に農薬の使用について考えてみてください。

世界で起きたミツバチ大量死の実態

国内では大きなニュースとして取り上げられませんが、世界中でミツバチの大量死と蜂群の減少についての報告が相次いでいます。1990年代にヨーロッパ各国で報告され始めたこの現象のことを、「蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder=CCD)」と呼んでいます。

CCDとは?

・働きバチが巣にほとんどいない
・死骸が見つからない
・巣にさなぎのままのハチが多数見つかる
・巣に蓄えている蜜や花粉が残っている
・女王蜂が巣に残っている

2018年時点でアメリカやカナダ、中南米、インド、中国などで広がっています。他にも以下の図で示したように、世界中あらゆる大陸で見られる現象です。

ミツバチ大量死の原因は農薬が関係??

ミツバチの大量死の原因としては、温暖化による害虫被害、森林伐採による植物多様性の変化、蜜源の減少、ウイルス感染、ミツバチの家畜化、飼育環境のストレスなどが考えられてきました。しかし、さまざまな検討の結果、直接的原因として証拠が出そろったのが「ネオニコチノイド系農薬」です。

各論文発表でも指摘されるネオニコチノイド農薬の影響

近年、サイエンス等の信頼性の高い論文雑誌で、ネオニコチノイド系農薬とミツバチの死亡増加に関する報告が続いています。

例えば、「ネオニコチノイド系農薬がミツバチの採餌行動を減少させて、生存率を低下させる」「ネオニコチノイド系農薬がマルハナバチコロニーの成長と女王バチの生産を減少させる」などの、科学的証拠が蓄積されたのです。

ミツバチが巣に戻れなくなってしまう原因としては、ネオニコチノイド系農薬が脳を冒し、方向感覚を狂わせて帰巣本能を失わせてしまうため、さらに汚染されたエサを食べた幼虫の脳が未発達のままであり、脳に障害が起きる、などの理由が考えられています。

EUでは3種のネオニコチノイド系農薬の屋外使用禁止を決定

これらの科学的根拠に基づく報告を受けて、2018年4月のEU委員会で、3種類のネオニコチノイド系農薬の屋外における全面使用禁止が決まりました。自然環境の劣化は、結果的に経済的衰退につながると判断し、ミツバチなどの農作物の受粉を担う昆虫の命を減らしてしまうためです。もし、ミツバチが減って農作物の受粉ができなくなれば、農作物の収穫高も減ってしまい、経済的に大きな打撃となります。そのため、EUではミツバチの生態変化は非常に重要な警鐘として捉え、農薬使用に関する大きな決断を下したというわけです。

ミツバチがもし消えた場合、何が私たちに起きる?

ミツバチのような小さな生き物が死んでも、私たち人間に影響がどれほどあるのかピンと来ない方も多いかもしれません。ヒトはミツバチを直接食すわけでもなく、ハチミツが無くても困らないとすら思う方もいるでしょう。しかし、小さな生き物が死んでいくことは、私たちにとって非常に重要な警鐘として捉えることが大事です。では一体、ミツバチが死ぬと人間にどんな影響があるのでしょうか?

農作物を実らせ、種子を確保する

ミツバチは花の蜜を栄養源として生きており、同時に花粉も運んでいます。その花の中で自家受粉と、他の花からの受粉を助ける他家受粉の両方に役目を果たしているのです。このような役目をもつ受粉昆虫を「ポリネーター」といいます。

そして、受粉した植物では果実が成長し、私たちが食べる農作物として育っていきます。また、農作物を実らせるだけでなく、翌年の種子を確保するためにもミツバチの存在は必要。じつは目に見えないところで、私たちはミツバチの恩恵を授かっているのです。

人工授粉に頼らざるを得なくなる?!

ミツバチが受粉を行う作物は、以下のように多岐にわたります。

イチゴ、なし、トマト、レタス、きゅうり、スイカ、ウメ、カボチャ、玉ねぎ・・・

ミツバチがいなくなったら、これら主要な農作物は人工授粉に頼らざるを得なくなってしまいます。人工授粉は、ミツバチに代わって人の手で受粉を行う方法。非常に労力と時間がかかります。また、コストもかかるため、流通自体が減る可能性も。とくに、日本のイチゴのようにミツバチの受粉に頼っている作物では、ミツバチが消えたらスーパーから消えてしまうかもしれません。

日本でもミツバチ被害は報告されている

ミツバチの大量死は、決して海の向こうだけの話ではないのです。日本でも近年、その報告が相次いでいます。以下の図を見ていただくと、ほとんどの都道府県で何らかのミツバチ被害の報告がなされているのが分かります。

日本では、例えば、2005年に岩手県で700群ものミツバチが、イネ科につくカメムシの駆除に使われたネオニコチノイド系農薬「クロチアニジン」により、大量死が報告されました。他にも、北海道や長崎県でも報告があります。

農林水産省が実施した調査によれば、ミツバチ被害の80-85%が、カメムシ駆除を行う時期に発生していることが分かっています。ミツバチ減少の主原因がネオニコチノイド系農薬であることが示唆されているにも関わらず、行政の指示は巣箱を動かす程度で、農薬散布に対する規制は行っていないのです。

ミツバチ大量死は環境破壊の警告である

日本のミツバチは農薬散布の犠牲となって死んでいます。農薬の濫用だけでなく、ミツバチの家畜化によるストレス、免疫力の低下、ウイルスの感染など、全てがドミノ倒しのように関連して起きることでミツバチの大量死を招いているのです。

ミツバチの大量死は、ネオニコチノイド系農薬の悪影響だけではなく、過酷な環境で飼育されているストレス、化学物質や複数の農薬使用など、現代の環境が不自然に変わってしまっていることを教えてくれています。

ミツバチ大量死から学び、私たちにできることは?

私たちはミツバチからの恩恵を受けながら、同じ地球で共存しています。とくに、養蜂という形でミツバチの力を借りているのですから、ミツバチの異変に気付くのは難しいことではありません。せっかくミツバチが警告を出してくれているのだから、それを受け取って行動を変えていくべきではないでしょうか。

ミツバチが元気に育ち、安心して生存できるようになるには、農薬や化学物質、不要なストレスのない、本来の自然に近い環境が必要です。それは間違いなく人間にとってもメリットの多い環境になるでしょう。私たちが日々の選択肢を変えるだけでも意味はあります。なるべく、無農薬や有機野菜などを買うことで、日本の農業を変えていくことができるはずです。ぜひ、今日からできる限り農薬の少ない農産物を選ぶように心がけてみてくださいね。

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