「栄養価が高いから」、「カラダに良さそうだから」という理由で緑が濃い野菜を選んでいる、という方はいませんか?
実はその選び方にリスクが隠れています。
良かれと思って選んでいる野菜が、将来の健康に悪影響を与えてしまうかもしれません。
その緑が濃い野菜で注意すべきなのが「亜硝酸窒素」です。
赤ちゃんへの影響や発がん性が疑われており、海外では規制が進んでいるにもかかわらず、日本ではまだ野放し状態。
私たちは自分の身を守るためにも亜硝酸窒素のリスクと回避方法を知っておくことが大切です。
そこで、この記事では亜硝酸窒素とは何か、そのリスクや安全に食べるポイントについてお伝えします。
危険な野菜、食べていませんか?
野菜は何でも「体に良いもの」とされています。
特に、緑黄色野菜は栄養源として扱われ、緑の野菜は食卓に欠かせない存在です。
ホウレン草、チンゲン菜、小松菜、春菊など、緑の野菜を意識して食べている方も多いでしょう。
また、野菜不足解消のための青汁や緑の野菜ジュースも人気です。
しかし、良かれと思って選んでいる緑の野菜に、発がん性物質が入っているとしたら…ちょっと食べるのが怖くなってしまいます。
その怖い正体が「亜硝酸窒素」と呼ばれる物質です。
もともと人体にも存在する成分で、微量であれば問題はありませんが、過剰摂取が原因で人体に悪影響することが分かってきています。
亜硝酸窒素の特徴と多く含む野菜では、亜硝酸窒素とはどんな性質の物質で、私たち人間にどのような影響を与えるのでしょうか?
その特徴について詳しく説明します。
亜硝酸窒素とは?
亜硝酸窒素は、窒素を含む硝酸塩の総称で、「硝酸塩」、「硝酸態窒素」、「硝酸イオン」、「硝酸」などとも呼ばれます。
これは条件によって構造式が変化するためです。
硝酸塩を窒素の量で表したものが亜硝酸窒素。
環境省のホームページでは「硝酸塩」ということで取り上げられています。
人体に存在する成分である亜硝酸窒素は、土壌を含む自然界に広く分布しています。
植物は窒素を硝酸塩やアンモニウム塩の形で根から吸収し、炭水化物からアミノ酸、さらにはたんぱく質を作っていきます。
つまり、通常行う光合成によって硝酸は植物の成分として同化されるのです。
ただ土壌中の硝酸塩が多すぎたり、日光にあたる時間が短かったりすると、硝酸塩はアミノ酸やたんぱく質に同化されず、硝酸塩のまま植物中にとどまってしまうのです。
亜硝酸窒素を多く含む緑の葉野菜
亜硝酸窒素は主に緑の濃い野菜に多く含まれています。
たとえば、ホウレン草、チンゲン菜、春菊、サラダ菜などです。これらの緑の葉野菜と呼ばれるタイプは、スーパーに普段から並んでいる野菜ばかりではないでしょうか。
緑の葉野菜は亜硝酸窒素を溜め込みやすい性質があります。
色が濃いものの方が栄養価が高いと思って手にとっても、実は緑が濃い方が亜硝酸窒素が多く含まれる傾向があるのです。
海外では亜硝酸窒素の規制が進んでいる亜硝酸窒素は危険な物質であることから、WHOやEUではすでに基準が設けられています。
EUの基準ではホウレン草の場合、1キロあたり2000-3000mg未満と定められているほど。
その一方、日本の帯広消費者協会の調査では平均4000mgを超えているというデータが報告されています。
日本の農林水産省の見解として「野菜等の硝酸塩に関する情報」を発表していますが、硝酸性窒素の健康への影響には触れるものの、基準値を定めることは適当でないという判断に留まっています。
ただし、「1日あたりの摂取許容量」という目安が厚生労働省で設定されています。
20-64歳、体重58.7kgでは289mg/日です。
硝酸性窒素は野菜だけでなく、水道水や加工食品にも含まれているため目安が定められているにもかかわらず、野菜に含まれる亜硝酸窒素については一切規制を行っていないという不思議な状況になっています。
亜硝酸窒素が人体に与える悪影響とは?
日本人の中では農薬や放射性物質にばかり目が向けられていますが、亜硝酸窒素の健康被害について知っている人はごく一部の人に限られるでしょう。
しかし、海外の育児書などには、「ホウレン草やブロッコリーなど緑の濃い野菜は控える」ということが当たり前のように書かれています。
海外では亜硝酸窒素は危険な物質として広く知れ渡っているのです。では、具体的に亜硝酸窒素はどのような悪影響を人体に及ぼす可能性があるのでしょうか。
発がん性物質を生成する亜硝酸性窒素は体内で肉や魚のたんぱく質と結合し、「ニトロソアミン」という物質に変わります。
このニトロソアミンは、実は発がん性物質として知られている危険な物質です。
亜硝酸とアミンの反応には酸性条件が適しているといわれ、飲料水に含まれる硝酸性窒素のが多い地域では、胃ガンの発生率が高いという疫学的調査結果も出ています。
メトヘモグロビン血症を引き起こす亜硝酸窒素を原因とする、あるショッキングな事件が起こったことがあります。
赤ちゃんが真っ青な色になって突然死を起こす「ブルーベビー症候群」です。
実は、この事件にも亜硝酸窒素が絡んでいます。
原因は離乳食で色の濃い葉野菜をすり潰してあげていたことや、亜硝酸窒素を多く含む水を使った粉ミルクを与えていたことなどです。
これは海外だけの話ではなく日本でも報告されています。
亜硝酸窒素は主に乳児に対して「メトヘモグロビン血症」という病気を引き起こします。
胃酸により硝酸塩が亜硝酸塩になり、これが血液中のヘモグロビンという血色素と結びついて「メトヘモグロビン」へ変化。
ヘモグロビンは酸素と結合して酸素を全身に運ぶ役目を果たしていますが、メトヘモグロビンは酸素と結合できません。
結果的に酸欠を引き起こしてしまい、ひどい場合には死に至らしめるという恐ろしい病気です。
ベビーフードで乳児用食品や冷凍食品を大量に組み合わせる場合は気をつけた方がよいでしょう。
安全な葉野菜を食べるには??
「亜硝酸窒素が怖いので緑の葉野菜を避けるべきでしょうか?」というと、そういうことではありません。
緑の葉野菜は他の野菜では補うことが難しい豊富な栄養素が含まれている有益な栄養源です。
では、安全に緑の葉野菜を食べるには、どんな工夫をすればよいのでしょうか?
色の淡い野菜を選ぶ日本の緑の葉野菜は、特に亜硝酸窒素の規制を受けていないため、規制を上回る野菜もスーパーの店頭に並んでいます。
できる工夫の一つは、なるべく葉の色が淡いものを選ぶことです。
同じ場所に並んでいても色が薄いものを選ぶようにしましょう。
肥料を使わずに育てられた無農薬野菜の場合は、色が淡いものが手に入りやすく比較的に安全に育てられています。
ホウレン草だけでなく、大根の葉やキャベツの色などもチェックした方が安心です。
濃い緑の野菜はゆがいてから食べる
仮に濃い色の葉野菜しか手に入らない場合、なるべくゆがいてから食べることがオススメです。
お湯でこぼしてから食べると、亜硝酸塩が流れ出て摂取する量を減らすことができます。
茹でたホウレン草は、生で食べるよりも亜硝酸窒素が半分に減るとも言われています。
サラダで食べたいという場合も、ホウレン草やブロッコリーなどは茹でたものを添えるなどの工夫するとよいでしょう
安全な野菜を見分けられる目線を身につけよう私たちが普段食べている野菜には亜硝酸窒素が多く含まれており、知らず知らずのうちに摂りすぎてしまっている可能性もあるため、安全な野菜を選ぶ力を身につけることが大切です。
また、現代の私たちは亜硝酸窒素だけでなく農薬や化学肥料なども考えて野菜を選ばなければならず、気にしすぎるあまり「食べられるものがない!」なんて極端な状況にもなりかねません。完璧を追い求めることは難しいのですが、少しずつより良い選択を積み重ねることが重要です。
たとえば、無農薬野菜を取り入れるのが最も簡単で、確実に安心を手に入れられる方法ではないでしょうか。
それが難しい場合には茹でて食べるなど、少しの工夫で農薬や亜硝酸窒素から身を守ることはできます。ぜひ、少しずつ目線を変えながら、美味しく健康に野菜を食べていきたいものですね。